研究シーズ

重点1 骨髄間葉系幹細胞動員因子を用いた末梢循環不全に伴う難治性皮膚潰瘍治療薬開発
対象疾患 難治性皮膚潰瘍
プロジェクト概要 本プロジェクトでは、生体内損傷組織から血中放出されるHMGB1が骨髄間葉系幹細胞を血中動員し、損傷部位特異的に集積させて機能的組織再生を誘導するという、大阪大学が世界で初めて見出した「HMGB1による体内再生誘導メカニズム」を基に、末梢循環不全に伴う生体内難治性組織損傷部位に骨髄間葉系幹細胞を集積させて機能的組織再生を誘導するという、大阪大学発、世界初のHMGB1ペプチド医薬開発を進める。平成27年度、医師主導治験実施中。
重点2 血管新生作用を有する新規ペプチドの虚血性潰瘍への応用 [PDF : 647KB]
対象疾患 難治性皮膚潰瘍
プロジェクト概要 新規ペプチド(SR-0379)は、皮膚潰瘍治療薬に対する外用薬の開発を目指す薬剤であり、血管新生促進作用や肉芽形成促進作用等による創傷治癒効果に加えて抗菌作用を併せ持っている。血流不全に伴う皮膚潰瘍及び糖尿病性潰瘍への適応が目標となり、将来的には熱傷・褥瘡などへの適応の拡大も考えられる。先行開発中のAG30/5Cは30残基のペプチドであるため、合成コストを考慮し、より短いペプチドであるSR-0379を開発化合物とし、医師主導治験を実施中である。
重点3 左室補助人工心臓(LVAD)を装着した拡張型心筋症に対する液性免疫異常の解明とアフェレーシス治療の確立
対象疾患 左室補助人工心臓(LVAD)装着 拡張型心筋症
プロジェクト概要 補助人工心臓(LVAD)を装着していない重症心不全患者に対し、自己抗体を透析除去することによって心機能が改善することが示されている。しかし、LVADの装着は、循環動態を安定させるため血液浄化療法LVADを装着していない心不全患者よりも、安全に施行可能であると考えられることから臨床研究を行い、本研究は平成26年度で終了となった。
重点4 ドラックデリバリーシステムを用いた急性心筋梗塞治療薬の開発 [PDF : 606KB]
対象疾患 急性心筋梗塞
プロジェクト概要 心筋梗塞部位では血管透過性が亢進し、血中投与したナノサイズ粒子が選択的に集積することを見出した。これは、ナノ粒子を用いたドラックデリバリーシステムが急性心筋梗塞の有効な治療法となる可能性を示している。急性心筋梗塞モデルを用いた実験から、免疫抑制剤Cyclosporineを内包するナノリポソームが有意に高い心機能改善効果を示すことを明らかにしており、この知見を基に、急性心筋梗塞治療薬の開発を進める。
重点5 オキシム誘導体徐放性マイクロスフェアー(YS-1402)製剤の重症心不全への適応 [PDF : 479KB]
対象疾患 虚血性心筋症
プロジェクト概要 YS-1402製剤は、虚血部における血管新生を促進し、抗線維化作用、抗アポトーシス作用、および幹細胞の誘導・心筋細胞への分化を促進することにより、重症心不全を改善させる効果を有する。 本製剤による新規の虚血性心筋症に対するセル・フリーな血管新生・心筋再生治療剤として開発を進める。平成27年度、医師主導治験実施中。
重点6 慢性心不全治療薬としてのHGFプラスミドの開発 [PDF : 848KB]
対象疾患 虚血性心筋症由来慢性心不全
プロジェクト概要 大阪大学で発見され国内企業で末梢性血管疾患治療薬として開発中のHGFプラスミドについて、慢性心不全に対する臨床での安全性と有効性探索評価を目標とし医師主導治験を実施する。本薬は遺伝子治療用医薬品であり治験の開始に先立って「遺伝子治療用医薬品の品質及び安全性の確保について」(平成25年7月1日薬食審査発0701第4号別添)に規定された要件を満たしている事を確認し、医師主導治験を実施中。
重点7 脳卒中後難治性疼痛に対する経頭蓋磁気刺激装置の開発 [PDF : 610KB]
対象疾患 脳卒中後難治性疼痛
プロジェクト概要 薬物療法では効果が不十分な脳卒中後の難治性神経障害性疼痛や運動障害に対して、反復経頭蓋磁気刺激療法(rTMS)という新しい画期的な治療法が考案されている。しかし既存のrTMSは大変高額であり、設備の整った医療機関でしか行えない。また1回の刺激での効果持続も最長1日とたいへん短い。我々は患者自身が在宅において、毎日簡便に治療することが可能な非侵襲的装置を開発し、治療機器として上市を目指して医師主導治験を実施中である。
重点8 重症心筋症に対する骨格筋筋芽細胞シート移植治療、小児重症心筋症に対する骨格筋筋芽
細胞シート移植治療 [PDF : 504KB]
対象疾患 拡張型心筋症、小児拡張型心筋症
プロジェクト概要 本治療法は、患者自身の大腿部などから採取した骨格筋から骨格筋芽細胞を単離し、シート状にして、患者の心臓に移植するという再生医療のひとつである。シート形状で心臓に貼付する移植方法によって細胞損失が少なくなり、移植細胞から産生される因子が心機能の改善に働くという作用を効果的に発揮できると考えられる。
我々はすでに、自家骨格筋芽細胞シートを用いて、2つの臨床研究を実施しており、本治療法の安全性は確認されている。また、リモデリングの改善や運動耐容能の改善などの有効性も示されており、これらの知見を基に拡張型心筋症(成人、小児)に対する骨格筋筋芽細胞シート移植の安全性と有効性を確認する医師主導治験を実施中である。
重点9 中性脂肪蓄積心筋血管症に対する中鎖脂肪酸を含有する医薬品の開発
対象疾患 中性脂肪蓄積心筋血管症
プロジェクト概要 中性脂肪蓄積心筋血管症(TGCV)は、心筋及び冠状動脈に中性脂肪が蓄積し、青年~壮年層において重症心不全、不整脈、冠動脈硬化症をきたす極めて予後の悪い難病である。TGCVは細胞内のTG分解の必須酵素であるATGLの遺伝的欠損症である原発性TGCVと、遺伝子異常の明らかでない特発性TGCVに分類される。本研究では強力な細胞内TG含量低下作用を有する中鎖脂肪酸を主成分とする医薬品の開発を目指し、医師主導治験を実施中である。
重点10 脳死下心臓移植レシピエント心臓弁を用いた脱細胞化ヒト心臓弁の移植に関する安全性および有効性の研究
対象疾患 半月弁機能不全患者(大動脈弁、肺動脈弁)
プロジェクト概要 心臓弁の脱細胞化の技術が進み、Scaffoldを維持したままで免疫学的な拒絶反応を抑えることが報告され、さらには、この心臓弁が移植後に患者の自己の内皮細胞や幹細胞が再播種することで、耐久性および抗血栓性にすぐれた状態が維持されることが報告されている。本邦において脳死心臓移植時に摘出されたレシピエント心臓弁を用いた、脱細胞化ヒト心臓弁の移植に関する安全性および有効性を医師主導治験により明らかにし、製造販売承認を目指す。